【目次】
- 10年以上住んでもらった部屋が退去した
- なぜ10年以上の入居後に125万円のリフォームになったのか
- 最初の見積書を全部見てみた
- 「業者に任せる・施主支給・DIY・設置しない」の4分類に整理した
- 施主支給にした6つの設備と、実際の購入価格
- 照明・ウォシュレット・ガスコンロはどうしたか
- 再見積りはいくらになったか
- 設備購入価格が確定した。最終的な差額を計算する
- 週末に現場へ支給品を届けた
- DIYは「無料」ではない。ただ、やる理由はある
- 大家がリフォーム費をコントロールするときに大切だと思ったこと
- まとめ
10年以上住んでもらった部屋が退去した
見積書を開いて最初に目に入ったのが、1,246,850円という数字でした。
1DKの退去後リフォームで約125万円。正直、これはちょっと大きいなと思いました。
でも、すぐに冷静になりました。今回退去した部屋、入居期間が10年以上です。
長く住んでもらえたことは、賃貸経営としてはありがたいことです。空室期間がなく、頻繁な原状回復も不要だった。でも長く住めば、それだけ設備や内装が老朽化します。退去後にまとまった修繕費用が発生するのは、ある程度覚悟していたことでもあります。
「全部削ろう」とは思いませんでした。必要な工事はする。ただし、自分でできることまで業者に丸投げする必要はない——そう考えて、見積書を1項目ずつ見直すことにしました。
この記事では、見積りの精査・施主支給・DIY・設置しない判断、そして実際に現場へ支給品を届けた話まで、一連のプロセスを記録します。
賃貸リフォーム見積り約125万円を見直した|施主支給・DIYで4分類して費用をコントロールした実例
1.なぜ10年以上の入居後に125万円のリフォームになったのか
まず「なぜそんな金額になったのか」を整理します。
短期入居(2〜3年)の退去後のリフォームと、10年以上の入居後では、更新が必要な箇所の数が全然違います。クロスの耐用年数は一般に6年程度とされていますが、10年以上経過すれば汚れ・剥がれ・ヤニ汚染が重なります。床材、水回りの設備・パッキン、換気扇、照明、建具——これらがまとめて更新時期を迎えます。
原状回復の費用負担については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が基本的な考え方を示しています。通常使用による損耗(経年変化)は原則として貸主負担、入居者の故意・過失による損傷は借主負担というのが基本です。
今回のリフォームは、長期経年劣化による設備更新が中心です。入居者に費用を押し付けるものではなく、大家として負担すべきコストを、どうコントロールするかという話です。
| 更新が必要になった主な箇所 | 理由 |
|---|---|
| クロス全面 | 経年劣化・ヤニ汚染 |
| 床(フロアタイル) | 傷・汚れ・和室の劣化 |
| 水回り設備(水栓・換気扇など) | 10年以上の使用 |
| 建具(浴室折れ戸・襖・天袋) | 開閉不良・劣化 |
| 照明・換気扇・インターホン等 | 寿命・機能劣化 |
2.最初の見積書を全部見てみた
最初の見積りは税別1,133,500円・税込1,246,850円でした。主な項目を並べてみます。
| 工事項目 | 当初金額(税別) |
|---|---|
| ハウスクリーニング・ヤニ洗浄 | (見積書記載の通り) |
| エアコン新規(6畳用) | 110,000円 |
| クロス貼替え・下地処理 | (見積書記載の通り) |
| 和室下地組換え | 180,000円 |
| 和室フロアタイル | 60,000円 |
| DKフロアタイル | 60,000円 |
| 襖・天袋 | (見積書記載の通り) |
| ガスコンロ | 38,000円 |
| シャワートイレ | 48,000円 |
| トイレコンセント新設 | 48,000円 |
| タオルハンガー交換 | 10,000円 |
| 浴室折れ戸交換 | 135,000円 |
| インターホン交換 | 38,000円 |
| 照明器具 | 18,000円 |
| キッチン換気扇・手元灯・水栓・ドアノブ等 | (見積書記載の通り) |
| 合計(税別) | 1,133,500円 |
| 合計(税込) | 1,246,850円 |
これを見て最初に思ったのは、「全部一緒に頼まなくていいものが混ざっているな」ということでした。
照明交換、ウォシュレット、ガスコンロ——これらは工事というより設備の入れ替えです。工事を伴う部分もあるとはいえ、型を選んで自分でできる部分もある。換気扇やドアノブも、適合品を選べば自分で手配できます。
一方で、床下地・クロス・浴室折れ戸・エアコン設置・電気工事——これらはプロに任せた方がよい。仕上がりや安全性を考えると、ここは無理に手を出さないほうがいい工事です。
3.「業者に任せる・施主支給・DIY・設置しない」の4分類に整理した
見積書の工事を一つずつ見ながら、4つに分けていきました。
| 分類 | 考え方 | 今回の主な対象 |
|---|---|---|
| ① 業者に任せる | 技術・資格・安全性が必要。仕上がりが賃貸品質に直結する | クロス、床下地、フロアタイル、浴室折れ戸、エアコン設置、電気工事全般、ハウスクリーニング等 |
| ② 施主支給(部材だけ自分で調達) | 施工は業者。設備・部材はネット等で自分が手配することでコストを抑える | 換気扇、手元灯、ドアノブ、水栓、インターホン等 |
| ③ 自分で購入・取付(DIY) | 設備の選定・購入・取付を自分で行う。ただし資格・法令の確認必須 | 照明器具(シーリング式)、ウォシュレット |
| ④ 設置しない・必要性を再検討 | 本当に今回交換・設置が必要かを確認する。大家が用意しなくてよいものは見直す | ガスコンロ(入居者に用意してもらう)、タオルハンガー等 |
「リフォームを値切る」のではなく、「自分ができる仕事を引き取る、そもそも必要か確認する」という発想です。
業者に頼めば、商品選定・発注・運搬・施工・保証・工程管理というすべてのコストが乗ってきます。それは当然です。そのうちの「商品選定と調達」だけ自分でやれば、業者の仕入れコスト分を下げられる可能性があります。ただし、この方法にはリスクも伴います。
4.施主支給にした6つの設備と、実際の購入価格
今回、以下の設備について「部材支給(施主支給)」を選びました。
| 設備 | 型番・品番 | 購入価格 |
|---|---|---|
| キッチン換気扇 | YNK-20 | 3,400円 |
| LED流し元灯(15形・昼光色・センサースイッチ・電源コード付) | LT-NKL10D-HSS(06-402) | 4,580円 |
| トイレ換気扇(Panasonic) | FY-08PF9D | 4,475円 |
| ドアノブ(川口技研 ハイスナイトラッチ錠 バックセット60mm) | 川口技研 ハイスナイトラッチ錠 | 3,196円 |
| 洗濯機用水栓(TOTO 緊急止水弁付) | TW11R | 4,247円 |
| モニター付きインターホン | VS-SGZ20L(LEDライト搭載) | 14,000円 |
| 施主支給品 合計 | 33,898円 | |
合計約3万4,000円です。換気扇・手元灯・水栓など、単体としては安価なものが多い。インターホンが14,000円で最も大きい項目です。
ここで一つ補足しておきます。施主支給とした項目のうち、見積書上の表示金額が当初見積りと変わっていないものがあります。施主支給にすることで設備代が浮く可能性がある一方、施工費が残っているケースもあります。実際の削減額は、最終支払いが確定するまで確認を続けます。
施主支給の注意点も知っておく
- 適合する型番を正しく選ぶ必要がある(サイズ・接続方式が合わないと施工できない)
- 不良品・初期不良の場合、責任の所在が曖昧になることがある
- 工事日に部材が届いていないと工程がストップする
- 業者によっては施主支給を受け付けないケースがある
- 施工保証の範囲に施主支給品が含まれない場合がある
施主支給は必ずしも全ての場合でコスト的に有利になるわけではなく、段取りの手間と責任分担を理解したうえで選択することが大切です。
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さらに以下の3つは、業者への依頼自体を見積りから外しました。それぞれ、最終的な対応は以下のようになっています。
| 設備 | 業者見積(税別) | 最終的な対応 |
|---|---|---|
| 照明器具 | 18,000円 | 自分で購入・取付(シーリング式) |
| シャワートイレ(ウォシュレット) | 48,000円 | 自分で購入・取付(コンセント工事は業者) |
| ガスコンロ | 38,000円 | 設置しない(入居者に用意してもらう) |
| 小計 | 104,000円 |
照明とウォシュレットは自分で購入・取付することにしました。シーリングライトなら電気工事士の資格なしで取り付けられます。ウォシュレットの便座交換自体も自分でできます(今回のトイレコンセント新設は業者依頼です)。
ガスコンロについては、自分で購入・設置する予定でしたが、最終的に設置しないことにしました。入居者に必要に応じて用意してもらう形にします。
今回の物件の募集条件・周辺の競合環境を見て、ガスコンロなしでも問題ない判断をしました。一般化はできません——エリアや物件タイプによっては、大家側でガスコンロを用意することが当たり前の場合もあります。「今回の物件では設置しない」という実例として受け取ってください。
設備として本当に大家側で用意する必要があるかどうかを考えること自体も、コスト削減の一つです。
ただし、大切なことを補足します。
- 照明器具でも直結式(電線に直接つなぐタイプ)は電気工事士の資格が必要です
- ウォシュレットのコンセント新設は電気工事士が必要です。今回は業者に依頼しています
- ガスコンロのガス接続はLPガス・都市ガスの仕様・接続方式によって取り扱いが変わります
資格が必要な工事・専門的な接続は必ず専門業者へ依頼してください。
6.再見積りはいくらになったか
施主支給への変更・自分で取り付ける設備の除外・工事内容の見直しを業者と相談したうえで、再見積りが届きました。
当初見積り(税込):1,246,850円
↓
再見積り(税込):1,068,650円
差額:▲178,200円(削減率 約14.3%)
「何によっていくら下がったのか」を比較します。
| 項目 | 当初金額(税別) | 再見積(税別) | 変更内容 |
|---|---|---|---|
| 照明器具 | 18,000円 | — | 自分で購入・取付のため削除 |
| ガスコンロ | 38,000円 | — | 設置しないため削除 |
| シャワートイレ | 48,000円 | — | 自分で購入・取付のため削除 |
| タオルハンガー交換 | 10,000円 | — | 削除(資料では理由不明) |
| トイレコンセント新設 | 48,000円 | 45,000円 | ▲3,000円 |
| 出精値引き | — | ▲45,000円 | 工事量・内容の整理とセットで提示された値引き |
| 換気扇・手元灯・ドアノブ・水栓・インターホン(施主支給) | (見積額) | (部材支給に変更) | 施主支給に変更。差額は要確認 |
| 業者見積合計(税込) | 1,246,850円 | 1,068,650円 | ▲178,200円(約14.3%削減) |
7.設備購入価格が確定した。最終的な差額を計算する
見積りを再交渉した段階では「照明・ウォシュレット・ガスコンロは自分で調達予定」としていましたが、その後、実際の購入が完了しました。
結果は以下の通りです。
| 設備 | 業者見積(税別) | 実際の対応 | 実費 |
|---|---|---|---|
| 照明器具 | 18,000円 | 自分で購入・取付(2個) | 5,198円 |
| ウォシュレット | 48,000円 | 自分で購入・取付 | 16,980円 |
| ガスコンロ | 38,000円 | 設置しない | 0円 |
| 合計 | 104,000円 | 22,178円 |
業者見積の104,000円(税別)に対して、実際の自己購入額は22,178円でした。差額は約81,822円です。
注意:税区分の混在について
業者見積の104,000円は税別の金額、実際の購入額22,178円は税込の購入価格です。厳密には同一条件での比較ではありません。ただし、差の方向と規模感を確認する目的では「概算で約8万円の削減」と考えて差し支えないと判断しています。
ガスコンロは「設置しない」判断をしたため、自己負担ゼロです。結果として一番大きく効いた判断でした。
照明は2個で5,198円。業者見積の18,000円と比べると、かなり安く済みました。ウォシュレットは16,980円。業者見積の48,000円から大きく下げられました。
施主支給品(33,898円)と合わせると
施主支給した6品の合計33,898円と、今回のDIY設備22,178円を合計すると、自己購入した設備の総額は56,076円です。
業者への支払削減額178,200円から自己購入額56,076円を引くと、実質的な差額は約122,000円程度になります(税区分の違いによる誤差を含みます)。
今回のコスト削減の全体像(概算)
業者支払削減額:▲178,200円(税込)
自己購入額(施主支給+DIY設備):+56,076円(税込相当)
実質的な差額:約12万2,000円程度
※税区分の混在・細部の誤差があるため、概算での参考値です
8.週末に現場へ支給品を届けた
施主支給品がそろったタイミングで、週末に車で物件へ届けに行きました。
現場に着くと、すでに床の張り替え作業が進んでいました。2名の職人さんが作業していて、フロアタイルが半分ほど貼り終わっている状態でした。支給品を置かせてもらい、型番が合っているかどうかを職人さんに確認してもらいました。
帰りにコンビニでペットボトルのお茶を買い、2人に渡しておきました。季節的にも暑かったので。
現場を実際に見るのは今回が初めてではありませんが、自分で手配した部材が現場にある光景は、管理会社や業者に完全に任せていたころとは少し違う感覚がありました。「自分がここに関わっている」という実感、と言えばいいのか。特別なことでもないのですが、そんなことを思いながら帰りました。
9.DIYは「無料」ではない。ただ、やる理由はある
現場を見ながら、「これからは自分でもできる作業を少しずつ増やしていきたい」と思いました。
これまでは、管理会社・リフォーム会社・職人さんに任せることが多かった。それが合理的な判断だったのは間違いありません。自分の時間コスト・スキル不足・仕上がりのリスクを考えれば、プロに頼む方が結果として安くあがることも多い。
ただ、退職後は時間の使い方が変わります。照明交換、ウォシュレット交換、簡単な水栓交換、建具の調整、コーキング、塗装、クリーニング、小さな補修——こうした作業を少しずつ自分でやれるようになりたい、と思っています。
ただし、資格や専門知識が必要な工事はプロに任せるという姿勢は変わりません。電気工事・ガス配管・大規模な構造工事——これらを無資格でやろうとは思いません。
「DIY=無料」ではない
DIYには、作業時間・移動時間・道具代・材料費・失敗リスク・やり直しコストがかかります。「自分でやれば全部得」ではありません。
今回の照明(5,198円)やウォシュレット(16,980円)も、取付に時間がかかれば、その時間コストが上乗せされます。失敗すれば買い直しになる。
それでも今後DIYに取り組みたい理由は、コスト削減だけではありません。物件の状態を自分でよく理解できるようになりたい、という気持ちの方が大きいかもしれません。自分で一度でも触った設備は、次に不具合が出たときの原因の目星がつけやすくなります。業者への発注精度も上がる。長期的な物件管理の質が上がると思っています。
退職後の時間を使って、修繕費の削減だけでなく、自分の不動産経営そのもののスキルを高めていく——そういう方向で、少しずつ動いていきます。
10.大家がリフォーム費をコントロールするときに大切だと思ったこと
今回の経験から感じたことをまとめます。
リフォーム費を下げる方法として「業者を値切る」という発想はありますが、それだけではないと思っています。今回私がやったのは、見積書を1項目ずつ確認して「誰がやるか」「そもそも必要か」を決めることでした。
業者に任せる工事は任せる
床下地・クロス・浴室折れ戸・エアコン設置・電気工事などは、仕上がりと安全性のためにプロに依頼します。ここは削りません。
自分で調達できる部材は自分で調達する
換気扇・手元灯・ドアノブ・水栓・インターホンなどは、ネット通販や量販店で購入して施主支給にします。ただし型番選定・納期管理・保証の分界点は自分で把握する必要があります。
自分で取り付けられる設備は取り付ける
シーリングライトの交換、ウォシュレットの交換——これらは作業内容と法令上の制約を確認したうえで、自分でやれる範囲でやります。
設備をそもそも設置しない判断をする
今回のガスコンロがそうです。大家が用意するものとして当然視されている設備も、募集条件・地域慣行・競合物件次第では省ける場合がある。「なぜその設備を用意するのか」を一度考えることも、見積りの見直しに含まれます。
不動産投資は購入価格や家賃だけで収益が決まるわけではありません。退去ごとの修繕費・リフォーム費——こうした積み重ねが長期的なキャッシュフローを大きく左右します。このタイミングをどう乗り越えるかが、賃貸経営のリアルな実力差になっていくと感じています。
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まとめ
今回の学びを一言でまとめると、「リフォーム費を下げるには、値切るよりも、自分が何を引き取れるかを考える」ということです。
今回取り組んだのは、施主支給・DIY・設備を設置しない判断・見積りの再交渉、この4つの組み合わせです。
今回のコスト削減の結果を整理します。
- 当初見積り(税込):1,246,850円
- 再見積り(税込):1,068,650円 → 業者支払削減 ▲178,200円(約14.3%)
- 施主支給品 購入額:33,898円(換気扇・手元灯・トイレ換気扇・ドアノブ・水栓・インターホン)
- DIY設備 購入額:22,178円(照明5,198円+ウォシュレット16,980円)
- ガスコンロ:設置しない(自己負担ゼロ)
- 自己購入の合計:56,076円(概算)
- 実質的な差額:約12万2,000円程度(概算・税区分の混在あり)
数字だけ見ると「それくらいなら自分でやれば良かった」と思う方もいるかもしれません。ただ、DIYにも時間・道具・段取りコストがかかります。「全部自分でやれば得」ではなく、「プロに任せる部分と自分が引き取れる部分を分ける」のが本質だと思っています。
今回は支給品を届けるところまででしたが、次は自分で取り付けるところまでやってみます。
退職後は時間もできるので、少しずつ自分でできる作業を増やしていきたいと思います。
それが結果として、修繕費の削減だけでなく、不動産経営そのものを理解することにもつながる気がしています。
DIY・施主支給に関する注意
電気工事士の資格が必要な作業(直結式照明・コンセント新設等)やガス接続を資格なしで行うことは法律上の問題になる場合があります。作業前にメーカーの説明書・関連法令・資格要件を必ず確認し、専門業者が必要な部分は依頼してください。施主支給については業者との事前確認・責任分担の取り決めが不可欠です。


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