事故物件を一人で内見してきた|ゴミ屋敷の実態・特殊清掃費用・買付証明書を送るまでの話

不動産

📖 この記事は前回の続きです

前回は、孤独死後2か月・特殊清掃未実施の事故物件に購入検討として問い合わせをし、翌日に内見を計画するところまでを書きました。→ 【前回記事:事故物件の購入を検討した話】

【目次】

  1. 連絡のない不動産屋と、留守電を入れて動いた朝
  2. 自転車で30分。外から見た第一印象
  3. 玄関の鍵は開いていた
  4. 扉を開けた瞬間に分かったこと
  5. 一度出て、もう一度入ることにした
  6. 中で感じたこと
  7. 2〜3分で出た。それが限界だった
  8. カフェでChatGPTと数字を整理した
  9. 費用の試算:最悪のシナリオから考える
  10. 150万円の売値に、50万の指値を入れることにした
  11. 買付証明書を作って、メールで送った
  12. まだ連絡は来ていない

1.連絡のない不動産屋と、留守電を入れて動いた朝

前回の記事で書いたように、担当者に免許証の写真を送って連絡を待っていた。しかし、何日経っても電話は来なかった。かけても出ない。

連休が挟まっていたこともあり、「返事が来ないこともあるかもしれない」とは思っていた。ただ、翌日の午前中に現地を見ようと決めていたので、電話をくれた番号の留守電に一言だけ残した。

「本日午前中に現地へ伺います」

それだけ伝えて電話を切った。鍵を借りているわけでも、立ち合いを頼んでいるわけでもない。ただ、誰かに「今日行く」と言っておきたかっただけかもしれない。

2.自転車で30分。外から見た第一印象

現地まで自転車で向かった。走ると30分ほどの距離だった。

物件の前に着いて、最初に思ったのは「これは想像以上だ」ということだった。

草が生い茂っていた。道路から玄関に向かうための通り道があるはずなのだが、背の高い草と低木が密生していて、入っていくのも一苦労だった。かき分けながら進んで、やっと玄関の前に立てた。

周囲の家と比べると、明らかに異質だった。2か月間、誰も管理していなかった物件というのは、こういう見た目になるのだと実感した。季節によっては、もっとひどくなる。

3.玄関の鍵は開いていた

玄関に手をかけてみると、鍵がかかっていなかった。

正直、少し驚いた。事故物件の内見では担当者が立ち合いをするのが通常のはずだが、担当者とは連絡が取れていない。鍵が開いていたことが意図的なものか、そうでないのかも分からない。

玄関の取手に手をかけた瞬間、クモが一匹するっと降りてきた。それほど大きくはなかったが、予期していなかったので反射的に手を引いた。

少し間を置いて、あらためて扉を引いた。

4.扉を開けた瞬間に分かったこと

開けた。

そして、玄関の先を見た瞬間に「これはダメだ」と思った。

玄関から奥のダイニングまで、ゴミが積まれていた。足の踏み場、というよりも、通れる隙間すらほとんどない。そういう状態だった。

いわゆる「ゴミ屋敷」というものを実際に目で見たのは初めてだった。写真や映像では何度か見ていたが、実物は違う。空間の圧迫感と、複数の臭いが混ざったような独特の匂いが、玄関を開けた瞬間に来る。

しばらくそのまま立っていたが、そこで一度扉を閉めた。

5.一度出て、もう一度入ることにした

庭の方を確認しようとしたが、外周を回ってみると、ゴミが庭の縁まで出ていて近づけなかった。

自転車のところに戻って、少し考えた。

「このまま帰っていいか?」

ここまで来たのだから、中を見なければ判断できない。残置物の量、水回りの状態、床や壁の状態。外から見ているだけでは何も分からない。30分かけて来た意味がない。

もう一度入ることにした。

📚 関連記事:[不動産投資を始める前に感じた5つの不安【前編】|サラリーマン投資家の本音]

6.中で感じたこと

意を決して入った。ゴミの山の間にわずかにある通り道を、足元を確認しながら進んだ。

どの部屋を見ても、同じような状態だった。ゴミ袋、段ボール、衣類、食器、紙類——分類できないほど雑多なものが重なり合っている。それが生活の痕跡なのかどうかも、よく分からない。

ゴミの中に、いくつかのものが目に入った。エロ本。男性ものの靴。

おそらく住んでいたのは、男性の一人暮らしだったのだろう。それ以上のことは分からない。亡くなって2か月が経つまで誰にも発見されなかったということも、今は単なる事実として受け取るしかない。

腐敗臭はなかった。これは事前に聞いていた情報と一致していた。自分なりに考えたのは、亡くなった場所がお風呂やゴミの上だったこと、その後特殊清掃が行われたことで、匂いが周囲の素材に染み込む前に処置がされたのではないか、ということだった。これは想像であって確認ではない。

奥まで進もうとしたが、廊下の中間あたりで止まった。風呂やトイレのある方まではたどり着けなかった。それ以上の通路がなかった。

スマートフォンで写真を撮れるだけ撮った。

7.2〜3分で出た。それが限界だった

写真を撮り終えて、外に出た。中にいたのは2〜3分だったと思う。

長く居られるような場所ではなかった。一人で入って確認できる範囲には限度がある。それを理解した内見だった。

外に出て草をかき分けて道路に戻り、自転車にまたがった。

8.カフェでChatGPTと数字を整理した

帰り道にカフェに寄った。コーヒーを注文して、席に座って、頭を整理した。

感情的な判断をしたくなかった。「すごかった」「びっくりした」という印象は脇に置いて、数字で考えることにした。そのためにChatGPTを使った。

この物件に関して整理したのは次の事実だった。

  • 市街化調整区域だが、周辺では土地として売り出されているものがあり、再建が完全に不可能な立地ではない
  • 現在の売値は、周辺相場からすると安い水準にある(と判断した)
  • ただし、残置物処理・特殊清掃・リフォームのコストが乗ってくる
  • 水回りの状態が確認できていない

ChatGPTには、物件の概要と調整区域であること、ゴミ屋敷の状況を説明したうえで、コスト感の目安を聞いた。あくまでも参考値であり、専門家への確認が必要なものだが、数字のスケール感を把握するために使った。

📚 関連記事:[告知事項あり・孤独死後2か月の事故物件を現地確認するまで|相場より安い築古戸建を冷静に判断した記録]

9.費用の試算:最悪のシナリオから考える

まず「最悪のシナリオ」から考えた。建物に問題があって使えない場合、どうするか。

答えは「取り壊して更地にして売る」だった。

ChatGPTに解体費用の目安を聞いたところ、この規模の建物の解体費は150万円前後というのが一つの参考値として出てきた。状況によっては200万円程度まで見ておいた方が安全だろうと判断した。

修繕して使う・貸すというシナリオで考えた場合は、残置物処理・特殊清掃・リフォームを合計して、300万円あれば何とか使える状態まで持っていけるのではないかと見込んだ。

いずれにしても、現在の売値に対してこのコストが乗っかっても、収支が成立するかどうかを試算した。

シナリオ内訳(概算)合計目安
修繕して活用残置物処理+特殊清掃+リフォーム〜300万円程度(目安)
解体して更地化解体費用のみ150〜200万円程度(目安)

※上記はChatGPTへの質問と自分の調査をもとにした概算です。実際の費用は業者の見積もりで確認が必要です。

どちらのシナリオでも、現時点の売値が十分に安ければ成立する余地がある、と判断した。そのためには、売値をできるだけ下げることが大前提になる。

📚 関連記事:[告知事項あり・孤独死後2か月の事故物件を現地確認するまで|相場より安い築古戸建を冷静に判断した記録]

10.150万円の売値に、50万の指値を入れることにした

この物件の現在の売値は約150万円だった。

ここに50万円の指値を入れることにした。つまり、100万円での購入申し込みだ。

根拠は費用試算にある。残置物・清掃・リフォームに300万円かかるとすれば、取得コストを100万円に抑えることで、トータル400万円以内に収まる。もし解体して更地売却になったとしても、取得コスト+解体費の合計が300万円前後になるため、土地値として成立するかどうかの判断ラインに近づける。

売主が応じなかった場合、最悪でも150万円(現値)までなら購入を検討できると思っている。ただ、最初から上限で申し込む意味はない。

「50万の指値が通るかどうか」という問いに対しては、通ってほしいが、通らなくても想定内だという立場だ。

11.買付証明書を作って、メールで送った

不動産屋とは相変わらず連絡がとれていない。電話は出ない。折り返しもない。

ただ、相手から連絡が来るのを待ち続けるより、こちらから意思を示す方が動くと判断した。

買付証明書を自分で作成した。物件の情報、購入希望価格(100万円)、諸条件などを記入して、印鑑を押した。それをスキャンしてPDF化し、不動産屋のメールアドレスへ添付して送った。

買付証明書に法的拘束力はない。売主に「この金額で買いたい意思がある」ということを示す書類だ。それでも、書面として出すことに意味があると思っている。

12.まだ連絡は来ていない

買付証明書を送ったが、執筆時点でまだ返事はない。

連休明けに連絡が来ることを期待している。不動産屋が動く気があるのかどうかも、実はまだ分かっていない。問い合わせ対応がこれだけ遅いのは、担当者の問題なのか、物件自体の取り扱いに消極的なのかも判断がつかない。

続きは次の記事で書く。

📌 次回予告

買付証明書を送った後、不動産屋から連絡が来るかどうか——その結果と、物件判断の続きを書く予定です。更新をお待ちください。


内見で確認できたこと・できなかったこと

項目確認メモ
外観・外構の状態✅ 確認草木が密生。外周は確認済み
玄関〜ダイニングの状態✅ 確認ゴミ山積み。通り道はほぼなし
各居室の状態⚠️ 一部確認通路から視認のみ。入室はできず
浴室・トイレの状態❌ 未確認ゴミでたどり着けなかった
庭の状態❌ 未確認外周から覗けたのみ
腐敗臭の有無✅ 確認なし(複数臭が混在はしていた)
床・壁の損傷⚠️ 一部確認ゴミが多くて見えない部分が大半
雨漏り・シミ等⚠️ 一部確認天井を視認した範囲では気になる点なし
残置物の量感✅ 確認全室に渡るゴミ屋敷レベルの量
隣地との境界⚠️ 外周のみ確認詳細な境界標は次回以降

今回の判断の根拠:買付を入れた理由

「なぜこんな状態の物件に買付を入れたのか」と思う人がいるかもしれないので、整理しておく。

ひどい物件だった。間違いない。ただ、「ひどい」という感情と「買うかどうか」の判断は別だと思っている。

私が今回買付を入れた理由は以下の通りだ。

  • 市街化調整区域だが、周辺での土地売買実績があり、完全に活用不能な立地ではないと判断した
  • 現状の売値は周辺相場から見ても安い水準にある(と判断した)
  • 最悪のシナリオ(解体して更地売却)でも収支が成立する可能性がある
  • 残置物・清掃・リフォームを含めて300万円以内に抑えられれば、活用余地がある
  • 指値が通れば取得コストを100万円に抑えられる

逆に言えば、これらのどれかが崩れれば、買わないという判断になる。水回りに致命的な問題があれば、修繕コストは跳ね上がる。地番や境界に問題があれば、話が変わる。今は情報が不足しているから、買付という「意思の表示」を先に出して、その後の交渉と調査で判断を固める、という順番にしている。

買付証明書は意思の表示だ。拘束力はない。断ることもできる。だから、まず出す。

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まとめ

内見は短かった。2〜3分で出てきた。でも、必要な判断はそれで十分にできた。

カフェでコーヒーを飲みながらChatGPTに数字を聞き、シナリオを整理し、買付証明書を送った。それが今日一日の動きだった。

不動産屋からの返事は、まだない。

次の記事では、返事が来た(または来なかった)結果と、その後の展開について書く予定だ。

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この記事を書いた人
さいかすたろう

さいかすたろう|45歳からの自由研究

20年以上会社員として働きながら、不動産投資と資産形成を続けてきました。現在は総資産3億円。退職後の自由な暮らしを目指して挑戦中です。同じ悩みを持つ方の参考になる情報を発信しています。

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