人生には、「やってしまった」と思う瞬間がある。
試験に落ちた。昇進できなかった。転職を決めたけど不安でたまらない。会社を辞めようとしているけど、本当にこれでよかったのか。
そういうとき、私がいつも心の中で思い出す言葉がある。
「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」
大げさでなく、この言葉に何度も助けてもらった。今日は、この言葉の意味と、私自身の体験を交えてお伝えしたいと思う。
【目次】
「人間万事塞翁が馬」の意味と由来

まず、言葉の意味から説明させてほしい。
📌 人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
人生における幸福と不幸は予測できるものではなく、一見「不運」に見えることが後から「幸運」になることもあれば、その逆もある——という意味のことわざ。
「何事も一喜一憂せず、長い目で見ることが大切」という教えを含んでいる。
この言葉には、古代中国の物語が由来になっている。
ある国境のそばに住む老人(塞翁)の馬が逃げてしまった。近所の人たちが「それは大変でしたね」と慰めに来ると、老人は「これが幸運になるかもしれない」と答えた。
しばらくして、逃げた馬が野生の馬の群れを連れて戻ってきた。今度は「それはよかった!」と祝いに来ると、老人は「これが不運になるかもしれない」と言った。
やがて、老人の息子がその野生の馬に乗って落馬し、足の骨を折ってしまった。「大変だ」と慰めに来ると、またも老人は「これが幸運になるかもしれない」と。
その後、戦争が起きて村の若者たちは戦場へ送り込まれ、多くが命を落とした。しかし、足を骨折していた息子は兵役を免れ、無事だった——。
幸運と不運は、表裏一体だ。今見えている結果だけが、すべてではない。
体験談①:大学受験に落ちた日のこと

この言葉が、本当に自分のものになったのは、大学受験の結果を知ったときだった。
第一志望の大学に、落ちた。
あの日の感覚は今でも覚えている。「人生が終わった」という言葉が、比喩ではなく本当にそう感じられた。高校3年間、あの大学のために勉強してきた。それが崩れた瞬間、自分の未来が全部なくなってしまったような気がした。
結果として、第二志望の東京にある大学に進学することになった。
でも——今、振り返ってみると、あの「落ちた」という出来事がなければ、今の自分は存在していない。
東京に出たからこそ経験できたことがあった。地方では出会えなかった人たちと友人になれた。エリートばかりではない、個性的で楽しい仲間たちに囲まれた。大学では成績上位を取ることもできた。第一志望の大学に行っていたら、おそらく経験できなかった多くのことを、東京で積み上げられた。
あのとき「落ちた」ことが、今の自分を作ってくれた。今ではそう、迷いなく思える。
体験談②:子会社出向という「左遷」のこと

社会人になってからも、似たような経験をした。
ある時、社内で子会社への出向が決まった。本筋から外れた、と感じた。同期は本社でキャリアを積んでいるのに、自分は傍流へ——「もう上はないかもしれない」と思った。
でも、その後の展開は予想と全く違った。
子会社でのポジションが評価され、同期に比べて早く課長へ昇進することができた。その実績が認められ、憧れていた海外出張の機会をもらえた。そして最終的には、海外赴任まで経験することができた。
出向を言われたあの日、自分は「不運だ」と思った。でも結果として、あの出向がなければ、今の自分のキャリアはなかった。
「塞翁が馬」を、身をもって体験した出来事だった。
そして今、また転機の中にいる
今、私はまた転機の真っ只中にいる。
海外赴任から帰国したが、帰任後のポジションはグレードダウンだった。職場では、パワハラに近い環境に置かれている。客観的に見れば、「またつらい状況」だ。
でも——正直に言うと、どこかで感じていることがある。
「これも、きっと何かのための吉兆だ」と。
大学受験のとき、出向のとき、そう思えなくても後から振り返れば全部つながっていた。今回もきっとそうだ、と信じている。退職という選択を目の前にして、その先にある植物と向き合う仕事への思いが、日々確かになってきている。この状況が、自分の背中を押してくれているのかもしれない。
塞翁のように「これが吉になるかもしれない」と、静かに受け止めている。
今つらい人へ——絶対に、いい日が来る

ここまで読んでくれた方の中には、今まさに何かつらい選択の真っ只中にいる人もいるかもしれない。
転職しようか迷っている。会社を辞めるべきか悩んでいる。望まない異動を言われた。試験に落ちた。誰かに裏切られた。思い描いていた未来と、今いる場所がずれてしまっている——。
「選択を間違ったかな」と後悔することは、誰でもある。
でも、振り返ってみたとき、「あの選択は間違いじゃなかった」と思える日が必ず来る。私はそれを、自分の人生で何度も経験してきた。
どんなにつらいことがあっても、きっといいことが待っている。
その選択が正しかったと思える日が、絶対に、絶対に来る。
だから心折れず、前向きに、次のステップを踏み出してほしい。
「人間万事塞翁が馬」——この言葉を、今日ここで知ってくれた方の心の片隅に置いてもらえたら、うれしい。苦しいときにふと思い出してもらえたら、もっとうれしい。
人生は、今この瞬間だけで評価するには、まだ早い。
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あなたの「塞翁が馬」体験はありますか? 「あのとき辛かったけど、今思えばよかった」という出来事があれば、ぜひコメントで教えてください。きっと読んでいる誰かの支えになります。
※本記事は個人の体験・考え方をもとに執筆しています。


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