サラリーマン大家の確定申告——書籍・家賃・車・接待費まで、実際に経費計上してきた話

不動産

不動産投資を始めたとき、最初に実感したことの一つが「経費の幅が広がる」ということでした。

サラリーマンのままだと、税金は会社が計算して給与から天引きされます。自分でできることはほとんどない。でも不動産経営を始めて確定申告をするようになると、事業に関わる支出の多くを経費として計上できるようになります。

「どこまで経費にできるのか」は、初めての確定申告のときに一番気になるところだと思います。今回は私が実際に20年以上経費として計上してきたもの、そして損益通算の話、さらに「赤字を続けるとどうなるか」という少し違う視点の話まで書きます。

なお、経費計上の判断は税理士等の専門家に確認することをお勧めします。この記事はあくまで私の実体験の記録です。

【目次】

  1. 書籍代——不動産に関係する本は全部
  2. 自宅の家賃・光熱費——家事按分という考え方
  3. 通信費——スマホ代もインターネット代も
  4. 車にかかわる費用——車両も維持費も
  5. 接待交際費——目的と記録が大事
  6. カメラなどの機材費——30万円以下特例の話
  7. 経費にならないもの
  8. 損益通算——給与の税金が戻ってくる仕組み
  9. 赤字と融資の関係——ここだけは正直に伝えたい
  10. 法人化という選択肢
  11. まとめ

1. 書籍代——不動産に関係する本は全部

私はもともと本をよく読みます。不動産投資を始めてからは、関連書籍をかなりの冊数読みました。それらはすべて経費として計上してきました。

「不動産に直接関係する本だけ」にとどまらず、自己啓発書や経営書なども同様です。実際、経営者としての考え方や、人との関わり方を学ぶ本は、間接的に不動産経営に役立つ部分があります。マンガだって、ビジネスや歴史の視点から学べるものがあれば経費に含めることもありました。

ただし、「不動産経営と無関係なレシートを何でも入れればいい」という話ではありません。税務調査が入ったとき、なぜこれが事業経費なのかを説明できることが前提です。自分の中で「なぜ購入したのか、何が事業に役立つのか」を言語化できるものを計上する、という基準が現実的だと思っています。

2. 自宅の家賃・光熱費——家事按分という考え方

自宅の家賃や水道光熱費も、事業に使っている部分は経費として計上できます。これを「家事按分」と言います。

たとえば自宅のうち一部屋を事務所として使っているなら、部屋数や面積の割合で按分する方法があります。時間で按分する方法もあります。「3LDKのうち1部屋を事務所として使用、延床面積の4分の1」というような説明ができれば、その割合で家賃や光熱費を経費に入れられます。

重要なのは、「この割合はなぜか」を説明できることです。税務署に聞かれたときに答えられる根拠があるかどうか。それが整っていれば、自宅の一部を事業経費に含めることは正当な節税です。

3. 通信費——スマホ代もインターネット代も

不動産経営は、スマホとインターネットなしではできません。物件管理会社との連絡、入居者対応、融資の連絡、経費管理ツールの利用——日常的にスマホとインターネットを事業で使っています。

これらも家事按分の考え方を使います。「スマホの利用時間の半分は事業用」なら、スマホ代の50%が経費というイメージです。私は個人用・事業用でスマホを分けていた時期もありましたが、それが最も明確な方法です。一台しかない場合は、現実的な按分割合を出して適用します。

4. 車にかかわる費用——車両も維持費も

不動産投資において車は、物件の内見・銀行回り・修繕業者との待ち合わせ・管理会社への訪問など、さまざまな場面で使います。

車両本体の購入費は固定資産として減価償却します。ガソリン代、駐車場代、車検・保険料などの維持管理費は、事業に使用した割合で経費計上できます。

「どこに、何の目的で行ったか」を記録しておくと、事業利用の証明になります。走行距離を記録するアプリや、シンプルなExcelで記録を続けていました。面倒に見えますが、慣れると大したことはありません。

5. 接待交際費——目的と記録が大事

不動産の仲介会社の担当者との懇親会、信頼できる投資家仲間との情報交換の食事会——これらの費用は接待交際費として経費に含めています。

友人から最近の不動産市況を聞く食事会も同様です。「食事」という形をとっていても、目的が事業情報の収集や関係構築であれば、それは事業に関わる費用として扱えます。

ただし、ここは注意が必要なポイントでもあります。「誰と、どこで、何のために」という記録を残しておくことが大切です。領収書だけでなく、相手の名前・会社名・会の目的・得た情報などを簡単にメモしておくと、万が一確認が入ったときに説明しやすくなります。

「なんとなくの飲み代を全部経費にする」という姿勢は長続きしません。事業との接点を説明できるものを選んで計上することが、継続して安全に経費処理をするための基本です。

6. カメラなどの機材費——30万円以下特例の話

入居者募集のために、部屋の内部を撮影することがあります。物件の状態を記録するためにも写真は必要です。カメラはその目的で購入したため、経費として計上しました。

機材費で関係するのが、固定資産の取り扱いです。一般的に10万円以上のものは固定資産として計上し、減価償却で複数年にわたって経費化します。ただし、青色申告をしている小規模事業者(中小企業者等)は、30万円未満の減価償却資産を一括で経費に計上できる特例があります(少額減価償却資産の特例)。

この特例を使えるかどうかは、事業規模や申告方法によって変わります。適用できるか否かは税理士等に確認することをお勧めします。

7. 経費にならないもの

逆の話も書いておきます。

「不動産経営に関係しないもの」は経費になりません。シンプルな話ですが、家族との純粋な外食や、完全にプライベートの旅行、趣味だけのための購入品は経費として認められません。

「不動産経営と関係していれば、大体経費として認められる」という考え方は正しいです。ただ、そのためには「なぜ関係するのか」を自分で説明できることが必要です。その説明が苦しい場合は、計上を避けた方が無難です。

8. 損益通算——給与の税金が戻ってくる仕組み

不動産投資を始めてすぐの時期、減価償却費や修繕費などの経費が大きくなると、不動産所得がマイナス(赤字)になることがあります。

この不動産所得の赤字と、給与所得を合算して税金を計算するのが「損益通算」です。赤字の分だけ課税所得が下がるため、結果として給与から引かれていた税金の一部が還付されます。

私も初期の頃はこの還付が毎年入ってきました。給与からの手取りに加えて、年に一度まとまったキャッシュが戻ってくる。これが資産形成の初期段階でキャッシュをためるスピードを上げてくれた、という実感があります。損益通算は、不動産投資をサラリーマンのうちに始める大きな理由の一つです。

📌 損益通算のイメージ(簡略)

損益通算なし損益通算あり
給与所得 800万円
に対して課税
給与所得 800万円
不動産所得 △100万円
合算 700万円に対して課税
税負担が大きい課税所得が下がり、税還付が発生

9. 赤字と融資の関係——ここだけは正直に伝えたい

損益通算は税金を下げるために有効ですが、一つ注意点があります。

不動産所得が継続的に赤字になると、銀行からの評価が下がります。

銀行は融資審査において申告書を確認します。赤字が続いていると、「この事業は儲かっていない」と判断されます。そうなると、「サラリーマンとしての信用の範囲でしか借りられない」という状態になっていきます。

初期のキャッシュ蓄積には損益通算が有効ですが、融資を拡大して物件を増やし続けたいなら、どこかのタイミングで不動産所得を黒字に切り替える必要があります。しっかり利益を出して、税金を払う。これが継続的に融資を受けるための条件です。

「節税で赤字を作る」と「融資を受けて資産拡大する」は、ある意味でトレードオフです。どちらを優先するかは、今の事業フェーズによって変わります。私は融資拡大期には利益をきちんと出す方向で申告をしていました。

10. 法人化という選択肢

サラリーマンの年収がある程度の水準になってくると、個人として不動産所得に税金を払い続けるより、法人を設立して事業を行う方が有利になってきます。

個人の所得税は累進課税で、最大55%(所得税45%+住民税10%)まで上がります。一方、法人税率は中小法人で実効税率が約23〜30%程度(課税所得800万円以下は約24%)です。年収・所得規模によって、法人化の方が明らかに有利になる水準があります。

法人化すると、経費の幅がさらに広がります。退職金を法人から受け取る、役員報酬として報酬を分散するなど、個人ではできない節税手段も使えるようになります。

ただし、法人設立・維持にはコストもあります。設立費用、税理士費用、社会保険料——これらを踏まえた上で「どのタイミングで法人化するか」を考える必要があります。法人化については、別途詳しく書こうと思っています。

まとめ

不動産投資を始めることで、経費化できるものは想像以上に広がります。書籍、自宅の一部、スマホ、車、接待、機材——これらは「経費にしてはいけない」ものではなく、正当に事業に関わるものとして扱える支出です。

ただし大切なのは、「なぜ事業経費なのか」を自分で説明できることです。そこが曖昧なままだと、税務調査で指摘を受けたり、税理士から「これは難しい」と言われたりすることになります。根拠のある経費計上を続けることが、長期的に安全な節税の基本です。

そして損益通算は初期のキャッシュ蓄積に効果的ですが、融資拡大を目指すなら黒字経営を目指すフェーズに移ることも必要です。この切り替えのタイミングを意識しながら、確定申告と向き合ってきました。

📌 不動産投資の確定申告経費まとめ

経費の種類内容注意点
書籍代不動産・経営・自己啓発など事業関連事業との関連を説明できること
家賃・光熱費自宅事務所部分を家事按分按分割合の根拠を用意
通信費スマホ・インターネット代事業利用割合で按分
車両費車両本体・ガソリン・車検・保険走行記録を残す
接待交際費仲介・業者・情報交換の食事会等相手・目的・得た情報を記録
機材費カメラ等の撮影・業務機材30万円未満は一括経費化特例あり(要確認)

📣 確定申告、どんな工夫をしていますか?

不動産投資をしている方で、「これも経費にできた」という発見や、「ここが難しかった」という経験があれば、ぜひコメントで教えてください。損益通算と融資のバランスについての話も、もっと聞いてみたいテーマです。

📌 あわせて読みたい

※本記事は筆者個人の経験をもとにした情報提供です。経費計上の適否は事業の実態・申告方法・税法改正によって変わります。確定申告については税理士等の専門家にご相談ください。「30万円以下の少額減価償却資産の特例」等の制度は適用条件があるため、最新情報を国税庁サイト等でご確認ください。

プロフィール
この記事を書いた人
さいかすたろう

さいかすたろう|45歳からの自由研究

20年以上会社員として働きながら、不動産投資と資産形成を続けてきました。現在は総資産3億円。退職後の自由な暮らしを目指して挑戦中です。同じ悩みを持つ方の参考になる情報を発信しています。

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