FIREを考えるとき、生活費の計算は何度もしてきました。でも、子どもの教育費については、どこか「後でちゃんと考えよう」と先送りにしていた部分がありました。
うちには息子が2人います。長男は中学3年生。次男はいま中学受験の準備をしているところです。どちらも私立中学に進む(もしくは進んだ)想定で、大学進学まで考えると、いったいいくらかかるのか。漠然とした不安はあっても、ちゃんと数字にしたことがなかった。
今回、文部科学省のデータをもとに、3つのパターンで試算してみました。最小コース、最大コース、そしてわが家の実際のコース。数字にしてみると、頭の中のモヤが少し晴れました。
【目次】
- 使ったデータの出所
- パターン①:最小コース(全公立・国公立大・自宅通学)
- パターン②:最大コース(全私立・私立大・一人暮らし)
- パターン③:わが家のケース(公立小→私立中高→大学・一人暮らし)
- 中学受験の塾代を忘れていた
- 長男の留学費用
- FIREへの影響をどう考えるか
1. 使ったデータの出所
教育費のベースには、文部科学省が2年ごとに公表している「子供の学習費調査」(令和3年度版)を使いました。学校教育費と学校外教育費(塾・習い事等)を合わせた「学習費総額」が学校種別・公私別に出ているので、試算の土台として使いやすいデータです。
大学費用については、文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」と、各大学の標準的な費用をもとにしています。
あくまでも平均的な数字に基づく試算なので、学校や地域によって実態は変わります。ただ、「だいたいどれくらいの規模感か」を把握するには十分だと思います。
2. パターン①:最小コース(全公立・国公立大・自宅通学)
まず、一番かからないケースから整理します。
公立小学校から公立中学、公立高校、そして自宅から通える国公立大学に進学する。習い事や塾も平均的な範囲。一人暮らしはしない。そういうケースです。
| ステージ | 年数 | 年間費用(目安) | 小計 |
|---|---|---|---|
| 公立小学校 | 6年 | 約35万円 | 約212万円 |
| 公立中学校 | 3年 | 約54万円 | 約162万円 |
| 公立高校 | 3年 | 約51万円 | 約154万円 |
| 国公立大学(自宅通学) | 4年 | 約61万円 | 約244万円 |
| 合計(1人当たり) | 約772万円 |
子ども2人分で、約1,544万円。
「公立全通し」であっても、2人の子どもを成人させるまでに1,500万円以上かかる。この数字を見て、教育費というのは放置できない規模だと改めて感じました。
3. パターン②:最大コース(全私立・私立大・一人暮らし)
次に、一番かかるケースです。
幼稚園は除いて、小学校から私立。私立中学、私立高校と続き、私立大学(理系)に進学。さらに地元を離れて一人暮らし。そういう想定です。
| ステージ | 年数 | 年間費用(目安) | 小計 |
|---|---|---|---|
| 私立小学校 | 6年 | 約167万円 | 約1,000万円 |
| 私立中学校 | 3年 | 約144万円 | 約431万円 |
| 私立高校 | 3年 | 約105万円 | 約316万円 |
| 私立大学・理系(学費のみ) | 4年 | 約140万円 | 約558万円 |
| 一人暮らし生活費(仕送り) | 4年 | 約96万円 | 約384万円 |
| 合計(1人当たり) | 約2,689万円 |
子ども2人分で、約5,378万円。
最小コースとの差は約3,800万円。この差が、教育の選択によって生じる金額です。5,000万円超という数字は、FIREの資産計画全体が変わるほどの影響があります。
もちろん、これは「すべて私立」という極端なケースです。現実にはここまで行く家庭は多くない。ただ、コストの上限感として知っておく意味はあります。
4. パターン③:わが家のケース(公立小→私立中高→大学・一人暮らし)
実際のわが家に近いパターンを試算します。
小学校は公立。中学から私立(中高一貫校)に進み、付属高校に内部進学。大学は今のところ未定ですが、地元を離れて一人暮らしをする可能性があります。
| ステージ | 年数 | 費用(目安) | 小計 |
|---|---|---|---|
| 公立小学校 | 6年 | 約35万円/年 | 約212万円 |
| 私立中学校 | 3年 | 約144万円/年 | 約431万円 |
| 私立高校(内部進学) | 3年 | 約105万円/年 | 約316万円 |
| 大学・学費(国公立の場合) | 4年 | 約61万円/年 | 約244万円 |
| 大学・学費(私立文系の場合) | 4年 | 約108万円/年 | 約430万円 |
| 一人暮らし生活費(仕送り) | 4年 | 約8万円/月 | 約384万円 |
| 合計(1人・国公立大の場合) | 約1,587万円 | ||
| 合計(1人・私立文系大の場合) | 約1,773万円 |
2人分にすると、国公立大ルートで約3,174万円、私立文系ルートで約3,546万円という試算になります。
最小コースと比べると約1,600〜2,000万円多い。全私立コースと比べると2,000万円近く少ない。「中間」のはずが、それでもずっしりとした数字です。
5. 中学受験の塾代を忘れていた
上の試算に含めていない費用が、もう一つあります。中学受験のための塾代です。
次男はいま受験準備をしています。長男も以前経験しました。中学受験に向けた進学塾は、小学4年から6年にかけての3年間通うのが一般的で、年間の費用は60〜130万円程度。大手進学塾では、テキスト代・模試代・夏期講習・正月特訓なども含めると、3年間で200〜400万円前後になることも珍しくありません。
子ども1人あたり250〜300万円を加算すると、わが家のトータルはさらに膨らみます。2人分なら500〜600万円の上乗せです。
試算していたとき、この費用を忘れていた自分に気づいて、少し動揺しました。「払ってきた」という現実としては記憶にあるのに、「これから必要な費用」として計上するのを忘れていた。中学受験塾の費用は、試算に入れておかないと、計画が狂います。
6. 長男の留学費用
長男は以前、短期の留学経験をしました。大学在学中にも留学を考えているようで、もしそうなると別途費用がかかります。
留学の費用は行き先と期間によって大きく変わります。交換留学の場合、渡航費・保険・現地での生活費を含めて年間100〜200万円程度。英語圏への私費留学だと、300〜500万円以上になることもあります。
ここでは控えめに150万円として試算に加えると、長男分だけでさらに増えます。次男が留学するかどうかはまだわかりません。
留学費用は「かかるかどうかわからない」費用の典型です。確定していないからといって計画から外すと、いざというとき選択肢を狭めることになる。ある程度の余裕資金として持っておく必要があると感じています。
7. FIREへの影響をどう考えるか
整理してみると、わが家の教育費の試算はざっくり以下のようになります。
- 2人分の学校教育費(公立小→私立中高→大学・一人暮らし):約3,200〜3,500万円
- 中学受験塾代(2人分):約500〜600万円
- 長男の留学費用(仮):約150万円
- 合計:約3,850〜4,250万円
全部が一気にかかるわけではありません。小学校から大学まで18年以上にわたって分散して出ていく費用です。ただ、期間中のFIRE後の生活費と並走してかかってくる、ということは忘れてはいけません。
FIREの計画では、「自分たちの生活費」と「子どもの教育費」を分けて考えることが大事だと思っています。「月の生活費×25年分」という4%ルールの計算だけでは、教育費という塊を拾えないからです。
もう一つ感じたのは、「どのコースを選ぶかは、親だけで決められない」ということです。子どもが行きたい学校があれば、それに向き合う必要がある。長男が留学したいと言えば、できる限り応援したい。子どもの意志を無視してコストを絞るのは違うと思っています。
だからこそ、教育費はFIREの計画の中に組み込んでおく必要がある。「なんとかなる」ではなく、「いくら必要か」を先に試算しておくことが、FIRE後に慌てないための準備だと、今回の試算を通じて改めて感じました。
📊 3パターン比較まとめ(子ども2人・教育費のみ)
| パターン | 1人あたり | 2人合計 |
|---|---|---|
| ① 全公立・国公立大・自宅通学 | 約772万円 | 約1,544万円 |
| ② 全私立・私立理系大・一人暮らし | 約2,689万円 | 約5,378万円 |
| ③ わが家(公立小→私立中高→大学・一人暮らし) | 約1,587〜1,773万円 | 約3,174〜3,546万円 |
| ③+塾代・留学費用含む | —— | 約3,850〜4,250万円 |
※文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)をもとにした目安。学校・地域・進路によって変わります。
📣 教育費、どこまで見込んでいますか?
FIREや早期退職を考えている方に聞きたいのですが、子どもの教育費はFIREの計画に組み込んでいますか?「なんとかなる」と思っていたか、ちゃんと試算したか。また、中学受験や留学など、想定外の費用が発生した経験がある方がいれば、ぜひ聞かせてください。
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