【目次】
- 「AI株投資」という本を読んで、試してみようと思った
- まず過去データからパターンを探してみた
- 週間シナリオをChatGPTに作ってもらった
- 毎朝8時に分析してもらうことにした
- 月曜日:一番確率が高かった予測は外れた
- 火曜日:中心シナリオに近い動き
- 水曜日:普通に外れた(笑)
- 木曜日:NVIDIA決算後、強気シナリオが近い結果に
- 「的中率」じゃなかった。私が一番価値を感じたこと
- AI株式投資のメリット
- AI株式投資の危険性とデメリット
- 実際に使えるChatGPTへの質問例5つ
- AIは「リサーチアシスタント」として使う
- まとめ
1.「AI株投資」という本を読んで、試してみようと思った
私はもともと、インデックス投資をドルコスト平均法で長期継続する、というのが資産形成のメインスタイルです。個別株の短期売買をガシガシやってきたタイプではありません。
ただ、会社を退職することを決めてから、時間の使い方が変わってくる。資産の中心はこれまで通りの長期投資で維持しながら、一部の資金を使って個別株やFXを試してみたいという気持ちもあります。趣味と勉強を兼ねて、少しだけアクティブな取引もやってみたい。そんなタイミングで出会ったのがこの本でした。
📚 今回きっかけになった本

ChatGPTやGeminiなど生成AIを株式投資にどう使うかが具体的に書かれています。私がChatGPTを株の分析に使ってみようと思ったのはこの本がきっかけです。
「確かに、こういう使い方もあるのか」と思いました。AIに株価を予言させるのではなく、情報収集・整理・シナリオ作成の補助ツールとして使う、という発想です。ちょうど保有していたキオクシア株があったので、実際に1週間試してみることにしました。
FIREを目指す株式投資の基本スタンス|個別株はやらない、ETF・インデックスをドルコスト平均法で続ける理由
2.まず過去データからパターンを探してみた
最近のキオクシアはかなり値動きが大きい銘柄でした。そこでいきなり予測させる前に、まず過去データを使って遊んでみることにしました。
ChatGPTに聞いたのはこんな質問です。
「ここ2週間、キオクシアを引けで買って翌日の寄りで売っていたらどうなりましたか?」
ChatGPTが過去の株価データを確認して計算してくれた結果がこちらです。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 取引回数 | 8回 |
| 勝敗 | 5勝3敗 |
| 勝率 | 62.5% |
| 単純合計(1株ずつ) | +2,280円/株 |
| 同額を複利運用した場合の仮定リターン | 約+5.06% |
※売買手数料・税金・スリッページは含まれていません。後述のデメリット部分も参照してください。
これを見て「あ、面白いな」と思いました。
別に「このパターンで儲かる!」という話ではありません。2週間のサンプルですし、手数料も入っていないし、この先も同じパターンが続く保証は何もない。
でも私が面白いと感じたのは、自然な日本語で質問するだけで、過去データからパターンを探す仮説検証ができるということでした。今まで自分でExcelを使って同じことはできましたが、質問文を打ち込むだけでここまでやってくれるというのは、正直ちょっと驚きました。
3.週間シナリオをChatGPTに作ってもらった
私はキオクシア株を2回に分けて購入していて、200株、平均取得単価48,511円で保有していました。
ChatGPTに次のように聞きました。
「来週月曜日からキオクシアの株価はどうなる見込みでしょうか?先週の市場状況、アメリカ市場などから予測してください」
すると、単純に「上がります」「下がります」とは答えてきませんでした。こんな形で返ってきたんです。
| シナリオ | 確率感 | 想定価格帯 |
|---|---|---|
| 反発継続 | 50% | 55,500円突破 → 58,000〜62,000円 |
| レンジ | 30% | 51,000〜56,000円 |
| 再下落 | 20% | 50,000円割れ → 47,000〜49,000円 |
そして、それぞれのシナリオについて、「なぜそう考えるのか」も説明してくれました。米国市場の動向、半導体株の状況、NASDAQの動き、ドル円の水準、その週に予定されていたイベント——こういった材料をまとめて、「これはプラス要因」「これはマイナス要因」という形で整理してくれたんです。
ここに最初に価値を感じました。
「上がるか下がるか」を単純に答えてもらうのではなく、なぜそうなる可能性があるのかという根拠を含めた複数のシナリオを出してくれる。これは普通に使えると思いました。
4.毎朝8時に分析してもらうことにした
週間シナリオだけでなく、毎朝更新してもらうことにしました。毎朝8時ごろ、ChatGPTに前日から当日朝までの情報を確認してもらい、その日の相場シナリオを出してもらう。
確認してもらった項目はこんな感じです。
- 前日のキオクシア株価(終値・高値・安値・出来高)
- 米国株(S&P500・NASDAQ)
- NVIDIA・Micronなど半導体・メモリー関連株
- フィラデルフィア半導体指数(SOX)
- ドル円の水準
- 米国金利
- 当日のイベント(決算・経済指標など)
- テクニカル上の重要価格(移動平均線・直近の高値安値)
これ全部を自分で毎朝調べようとすると、それなりに時間がかかります。ChatGPTに頼むと、「昨夜のNASDAQは○○で、NVIDIAが○○%動いた、これがキオクシアにとってプラス材料かマイナス材料かというと……」という形でまとめて出てくる。この使い方は想像以上に便利でした。
企業型DC(確定拠出年金)2,445万円の移換先はどこがベスト?iDeCoと自分の法人での継続を比較してみた
5.月曜日:一番確率が高かった予測は外れた
ChatGPTが週初めに出していたシナリオでは、「反発継続(55,500円突破)」が50%と一番高かった。
しかし月曜日の終値は50,930円。「反発継続」にはなりませんでした。どちらかというと「レンジ(51,000〜56,000円)」に近い動きです。
最初からこれを正直に書きます。一番確率が高いとされた予測は、最初の日から当たりませんでした。
ただ、これは当然のことでもあります。50%の確率というのは「2回に1回当たる」であり、「必ず当たる」ではありません。この日に関しては、30%のシナリオに近い結果になった。それだけのことです。
6.火曜日:中心シナリオに近い動き
火曜日の朝9時前、ChatGPTが出してきた予測です。
| シナリオ | 確率感 | 想定値動き |
|---|---|---|
| 下げてから反発 | 45% | 49,000〜50,000 → 51,000〜52,000円 |
| 弱いレンジ | 30% | 48,500〜50,500円 |
| 下放れ | 25% | 48,500円割れ → 46,500〜47,500円 |
実際の終値は51,260円。中心シナリオとして提示された「下げてから反発」の価格帯に近い結果でした。
ただ、ここで「AIの予測が的中!」とはなりません。シナリオの価格帯はそれぞれ幅があり、隣り合うシナリオで重なっている部分もある。「当たった」というより、複数用意されたシナリオのうち、中心的なものに近い動きをした、というのが正確な表現です。
7.水曜日:普通に外れた(笑)
水曜日はNVIDIAの決算が予定されていたため、ChatGPTは「半導体関連株は決算を前に様子見になりやすい」という材料もふまえてこんな予測を出してきました。
| シナリオ | 確率感 | 想定価格帯 |
|---|---|---|
| 強気 | 55% | 51,700円突破 → 52,500〜54,000円 |
| 中立 | 30% | 50,500〜52,000円 |
| 弱気 | 15% | 50,000円割れ → 49,000円再テスト |
実際の終値は50,000円。最も確率が高いとされた強気シナリオにも、中立シナリオにもなりませんでした。15%の弱気シナリオの境界付近まで下落した形です。
この日は外れです。隠す理由もないし、これが現実です。
AIに55%の確率と言われても、その日の株価はNVIDIA決算前の様子見と地合いの悪化で50,000円まで売られた。「55%」という数字は客観的な確率ではなく、材料を踏まえたAIの主観的な見立てに過ぎません。この日がそれをよく示してくれました。
8.木曜日:NVIDIA決算後、強気シナリオが近い結果に
水曜日の引け後にNVIDIAの決算が発表されました。木曜日はその結果を反映して、ChatGPTの予測も変わりました。
| シナリオ | 確率感 | 想定価格帯 |
|---|---|---|
| 強気 | 60% | 51,200円突破 → 52,000〜54,000円 |
| 中立 | 25% | 50,000〜51,500円 |
| 弱気 | 15% | 50,000円割れ → 49,000〜48,500円 |
実際の終値は52,500円。この日は強気シナリオの中ほどに近い結果でした。
ただし、再度書きます。「当たった」と表現するのは適切ではありません。前日の水曜日には外れている。シナリオの価格帯には幅がある。4日分で単純な勝率を計算するのは意味がない。それが実際のところです。
9.「的中率」じゃなかった。私が一番価値を感じたこと
1週間やってみて分かったのは、「ChatGPTが何%当てたか」ではなく、別のところに価値があったということです。
私が最もありがたいと感じたのは、「なぜそう考えるのか」を毎朝整理してくれることでした。
毎朝8時に確認できた材料はこんなものです。
- 昨夜のNASDAQ・S&P500の動き
- NVIDIAの値動きと材料
- Micronなどメモリー関連株の状況
- SOX(フィラデルフィア半導体指数)
- ドル円の水準
- 米国金利の動き
- キオクシアの直近の高値・安値・出来高
- 移動平均線との位置関係
- 当日・翌日に控えているイベント
これを自分で毎朝全部調べると30〜40分はかかります。それをChatGPTが「これがプラス材料、これはマイナス材料、この価格を超えると強い、ここを割ると要注意」という形でまとめてくれる。
自分で情報収集してたどり着いた結論なのか、AIが整理してくれた情報をもとに判断したのか——最終的に「今日どうするか」を決めるのは自分ですが、その判断の材料の質と量が圧倒的に変わりました。
もう一つ感じたのは、感情的な売買を防ぐ効果です。「今日下がってるから怖い」「もう少し上がるかもしれない」という気持ちで動く前に、「今日の材料はこれで、シナリオはこれ、重要な価格帯はここ」という整理を先にしておくと、判断が冷静になりやすい。これは実感としてありました。
橘玲『どうしたらお金持ちになれるの?』書評|子どものために買ったら、自分が一番考えさせられた
10.AI株式投資のメリット
今回の体験を踏まえて、AI(ChatGPT)を株式投資に使うメリットをまとめます。
- 大量の市場情報を短時間で整理できる
国内株・米国株・為替・金利・半導体指数など、複数の市場情報を同時にまとめて確認できます。自分で調べると時間がかかることを、自然な日本語で質問するだけで整理してくれます。 - 「上がるか下がるか」ではなく複数のシナリオを考えられる
相場に絶対はありません。強気・中立・弱気という複数のシナリオをあらかじめ考えておくと、「こうなったらどうするか」を事前に考えられ、慌てた売買を防ぎやすくなります。 - 過去データから仮説を検証できる
「このパターンで取引すると勝率は?」という仮説検証を自然言語で行えます。今まではExcelで自分で計算していたことが、手軽にできます。 - 自分では気付かなかった関連銘柄・指標を確認できる
キオクシアを分析するならNVIDIA・Micron・SOXも見るべき、という関連性をAIは整理してくれます。自分の視野外にある指標を見落とさないために使えます。 - 「なぜそう考えるのか」が言語化される
「なんとなく今日は強そう」という感覚的な判断から、「この材料がプラスでこちらがマイナス」という根拠のある判断に変えやすくなります。 - 感情的な売買を抑える材料になる
パニック売りや利益確定の迷いが生じたとき、「今日の材料を整理したシナリオ」があると、冷静に立ち返れます。 - 24時間いつでも使える
夜中に米国市場が大きく動いても、翌朝の整理をChatGPTにお願いできます。
11.AI株式投資の危険性とデメリット
良いことばかり書いてきましたが、こちらも同じくらい重要です。
① AIは未来の株価を知っているわけではない
これが大前提です。ChatGPTがどんな材料を整理しても、明日の株価が実際にどうなるかは誰にも分かりません。水曜日に普通に外れたように、市場は予測通りには動かない。
② 「60%」という確率は主観的なものに過ぎない
ここは特に初心者の方に伝えたい点です。ChatGPTが「強気シナリオ60%」と言っても、それは統計的・客観的に算出された確率ではありません。AIが市場の材料をふまえて出した「見立て」です。「60%と言われたから今日は強い」という判断をすると危険です。
③ 情報が古い可能性がある
ChatGPTの学習データには時間的な制約があります。リアルタイムのニュース・株価データはWebブラウジング機能を使った場合でも完全ではない場合があります。株価・決算数字など重要な数値は必ず一次情報(証券取引所・IR資料・証券会社のサイトなど)で確認してください。
④ AIが事実と異なる情報を回答することがある
生成AIは自信満々に間違えることがあります(いわゆる「ハルシネーション」)。ChatGPTが言ったからといって鵜呑みにせず、重要な情報は別途確認する習慣が必要です。
⑤ 過去のアノマリーが将来も続く保証はない
「引け買い→翌朝寄り売りで勝率62.5%」という結果も、2週間のサンプルです。今後も同じパターンが続くとは限りません。バックテスト結果だけを根拠にポジションを取ることは危険です。
⑥ バックテストには手数料・税金・スリッページを含める
「+5.06%」という数字は、売買手数料・税金・スリッページを含んでいません。実際の取引ではこれらがコストとして引かれます。見た目の数字より実際のリターンは下がります。
⑦ 予測を信じすぎてポジションを大きくしない
「AIが強気シナリオ60%と言ったから大きく買い増した」という判断は危険です。AIの分析はあくまで判断材料の一つです。ポジションサイズは自分のリスク許容度の範囲内で決めてください。
⑧ 最終的な投資判断と責任は自分にある
AIに相談したとしても、その取引の結果に対する責任は100%自分にあります。「AIがそう言ったから」は免責にはなりません。
12.実際に使えるChatGPTへの質問例5つ
最後に、私が実際に使っているか、使ってみたいと思っているプロンプトを5つ紹介します。コピーして使ってみてください。
プロンプト①:デイリーシナリオ作成
「○○株について、昨夜の米国市場(NASDAQ・S&P500)、同業他社の動向、為替、金利、直近ニュース、テクニカル(直近高値・安値・移動平均線)を確認し、今日の強気・中立・弱気シナリオを作ってください。それぞれのシナリオが成立する条件と崩れる条件も示してください。」
プロンプト②:アノマリー検証
「過去3か月について、○○株を引けで買って翌日の寄りで売った場合の勝率、平均リターン、最大損失、累積リターンを計算してください。手数料は別途考慮することとして、まず税金・手数料を除いた結果を出してください。」
プロンプト③:保有ポジションのシナリオ整理
「私は○○株を○円で○株保有しています。現在価格から考えられる上昇・下落シナリオを作り、利確・損切りを考えるうえで重要な価格帯を整理してください。それぞれの価格帯を意識すべき理由(テクニカル的な根拠)も教えてください。」
プロンプト④:週間イベントカレンダー確認
「今週予定されている米国・日本の主要な経済指標・決算・イベントを整理してください。特に半導体・メモリー関連株(○○株など)に影響しそうなイベントを重点的に教えてください。」
プロンプト⑤:銘柄の関連指標を整理してもらう
「○○株の株価に影響を与えやすい外部要因を整理してください。特に、米国の関連銘柄、指数、為替、金利、業界特有のイベントなど、確認すべき指標のリストを作ってください。」
これらは「ChatGPTに答えを出してもらう」ためのプロンプトではありません。自分が判断するための材料を整理してもらうためのプロンプトです。そこが重要なポイントです。
📚 ChatGPTやGeminiを株式投資にどう活用するか、具体的な使い方を知りたい方へ

生成AIを投資に活用する具体的な方法が整理されています。今回私が試したことの多くも、この本を読んで参考にした部分があります。
13.AIは「リサーチアシスタント」として使う
今回1週間試してみて、私の中でAIを株式投資に使うイメージが固まってきました。
私が考えているのは、こういう使い方です。
AI が担う部分
情報収集 → 整理 → 材料の分析 → 複数シナリオ作成 → 重要価格の抽出
↓
自分が決める部分
「買う・売る・何もしない」
AIに「今日買うべきですか?」と聞いて、その通りに売買する、というのは私が思い描いている使い方ではありません。最終的な判断は自分でする。ただ、その判断をするための材料の収集・整理・可視化は、AIに手伝ってもらう。
個人投資家にとって、情報収集と整理の時間的コストが大きな障壁になっていることは確かです。毎朝米国市場をチェックして、半導体株を確認して、為替と金利を見て……という作業は、できる人は限られます。AIはそこを圧倒的に短縮してくれる。
私はこれからも、資産形成の中心は長期のインデックス投資です。それは変えません。ただ、資産の一部を使って個別株の取引を試していく中で、AIをリサーチアシスタントとして活用していきたいと思っています。退職後は時間も増えます。引き続きここで検証結果を報告していきます。
11年分の資産記録をChatGPTに分析させたら、自分でも把握できていなかったことが見えてきた
14.まとめ
今回の1週間で感じたことを一言でまとめると、
「AIは株価を予言するツールではない。しかし、大量の情報を整理し、複数のシナリオを考えるためのリサーチアシスタントとして、かなり使える」
ということでした。
水曜日は外れました。月曜日の最有力シナリオも当たりませんでした。「ChatGPT株価予測 的中率○○%!」などと言える話は何もありません。
ただ、毎朝8時に市場状況が整理された状態で一日を始められること、自分の感情とは別のシナリオを持てること、「なぜそう考えるのか」が言語化された状態で判断できること——こういった使い方に、確かな可能性を感じています。
退職後の資産形成の中心はこれまで通りの長期投資で続けながら、一部の資金でAIを活用した個別株投資についても、引き続き検証を続けていく予定です。またここで報告します。
【免責事項】 本記事は筆者個人のAI活用体験を紹介するもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記事中の株価・予測データはあくまで実体験の記録であり、将来の株価を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
📌 あわせて読みたい(FIREクラスター)
- 45歳でFIREするために必要だった資産と収入——数字を正直に公開する
- 不動産投資によるFIREのメリットとリスク——空室・修繕・金利を含めて考える
- FIRE後の毎月の生活費はいくら必要か——家族の予算を全公開
- 完全FIREではなくサイドFIREを選ぶ理由——私の場合の判断基準
- 退職後の役員報酬を月6万円にする理由——社会保険と税金の現実
- 法人社保と任意継続の比較——FIREする前に必ず確認したいこと
- 企業型DC2,445万円をiDeCoへ移す理由——手続きと注意点
- 会社員の信用を失う前に銀行と確認すること——退職前の融資対策



コメント